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ローコード開発プラットフォームの歴史と進化

ローコード開発プラットフォームはノーコードと並んで開発界隈のトレンドとして語られることが増えています。ノーコードは一切のコーディングを行わないのに対して、ローコードはプラットフォームが提供している機能に不足があれば、自分でコーディングして拡張が可能です。ノーコードサービスを使っていて感じる、ちょっとした物足りなさや、かゆいところに手が届かないと感じるポイントを払拭してくれる存在と言えます。

この記事ではそんなローコード開発プラットフォームの歴史と、これまでの変化を紹介します。

ローコードの歴史

ローコード開発プラットフォームが生まれるきっかけとして、90年代から00年代の第4世代プログラミング言語とラピッドアプリケーション開発の存在が欠かせません(via ローコード開発プラットフォーム - Wikipedia)。それまでのプログラミング言語はFORTRANやCOBOLのような手続き型言語でしたが(Goなども含まれます)、第4世代プログラミング言語ではSQLやMATLABなど特定の用途に対するアプリケーション開発用言語が作られるようになりました。これらの言語はプログラマーだけでなく、エンドユーザーでも使えるのが特徴です。

そしてラピッドアプリケーション開発(RAD)は、ソフトウェア開発の仕組みです。ユーザー自身が開発チームに加わり、プロトタイプの評価、そして修正を繰り返して完成品に近づけていく手法になります。

RADにはRADツールの存在が欠かせません。たとえばVisual StudioやMS AccessのGUI作成機能のように、画面をその場で修正しながら動作確認できることで、開発が数倍高速になりました。

視覚的に開発できること、特定用途におけるプログラミング言語(サブセット的言語)がローコード開発プラットフォームの流れを作っているのは間違いありません。

ローコードの先駆者

ローコードという単語が使われたのは2014年6月9日、業界アナリストのフォレスター・リサーチによるものだそうです(via Low-code development platform - Wikipedia)。しかし、その市場自体はもっと長く存在します。

ローコードの歴史は意外と長いですが、筆者が覚えている限りではMagic Software社が先駆者のように思います。専用のIDEを使ってデータベースやフォーム、ロジックを定義することでXMLファイルが生成されます。そのXMLファイルをMagic Engineで実行することで、Webアプリケーションなどが即座に提供できる仕組みです。主にビジネス用、社内向けアプリとして使われることが多いようです。Magic Software社は1983年に創業された企業になります。

他にもGeneXusというローコードプラットフォームがあります。こちらは1988年に最初のリリースが行われています。こちらも業務要件を入力するだけで、目的に合わせたソースコード・データベースのスキーマ・帳票などが出力されます。やはり社内向け、業務向けアプリケーション開発用途という面が強いようです。

コミュニティの創出

日本においては超高速開発コミュニティというコミュニティが2013年8月に設立されています。幹事企業は各種ローコード開発プラットフォームを提供する企業になります。

なお、現在超高速開発コミュニティはローコード開発コミュニティに名前を変えています。

大手の参入

Googleは2016年にApp Makerというローコードローコードアプリ開発ツールをリリースしています。App MakerはWeb技術を使ってUIをドラッグ&ドロップで開発できるローコード開発プラットフォームになります。なお、App Makerは2021年1月19日に提供終了しており、AppSheetへの乗り換えを提案されています。AppSheetは2020年1月にGoogleが買収したノーコードプラットフォームになります。

AWSではAWSの各種サービスを組み合わせたワークフローを簡単に作成できるAWS Step Functions Workflow Studioを2021年7月にリリースしています。また、Amazon Honeycodeというノーコードサービスもあります。

MicrosoftではMicrosoft Power Appsが最も有名でしょう。他にもExcel関数をベースにしたPower Fxをオープンソース化していたり、Clear Softwareというノーコード/ローコードサービスを買収しています。

他にもIBMが提供するIBM Automation Platformや、Apple子会社のクラリスがClaris Connectを提供しています。

これまでの変化

00年代のローコードと言うと、業務アプリケーション開発に主眼が置かれていたようです。00年代における業務向けと言うことはWindowsアプリケーションがメインになるでしょう。また、一部においてはWebアプリケーションもありましたが、ActiveXやFlexを使ったシステムの場合もあります。

10年代に入っても業務向けシステムにおけるローコード開発プラットフォームは存在しています。しかし、さらにユーザ向けのWebアプリケーションであったり、スマートフォンアプリを開発できるものも出てきています。UIの自由度が高い訳ではないので、ゲームなどが開発できる訳ではなさそうですが、要件さえあれば稼働するプラットフォームは増えています。

また、インテグレーションするサービスが増えている点も特徴的です。00年代では自社DBと連携し、帳票やフォームを作るのが一般的でした。UIコンポーネントも、帳票やフォームなどが多かったでしょう。

しかし現在では外部のAPIを実行して、その結果を画面上に反映するものが増えています。それによって多彩なコンポーネントが実現し、より多機能でリッチなアプリケーションを、ほとんどコーディングなしで実装できるようになっています。

AIの登場

ローコード開発プラットフォームの難点として、エンジニアではないエンドユーザーがロジックを理解しなければならない点が挙げられます。しかし、そうした課題を解決できる可能性を持っているのがAIです。たとえばMicrosoftではGPT-3をMicrosoft Power Appsに統合し、アプリケーションの要件を話すだけで、それに合わせたコードが自動生成されるようになっています。

また、当社のFRONT-END.AIでは、画像をAIで分析して、HTML/CSSコードを従来にないレベルで自動コーディングすることができます。

まとめ

今後の流れとして、ノーコードプラットフォームが機能追加してローコード開発プラットフォームになる流れや、ノーコードとローコードが連携して、機能が足りない時にはローコードで補えるような仕組みが生まれることが考えられます。

また、業務で利用できるローコードプラットフォームが増えることで、特定の業務をスムーズに、省力化できるようになるでしょう。汎用的なローコーディングではなく、特定用途におけるローコーディングにも注目が集まりそうです。FRONT-END.AIではエンジニアのHTML/CSS/JSコーディングにおける負荷をAIの力で軽減します。デモお申し込みはこちら front-end.ai